宝筐院は京都の嵯峨野にある非常に静かな佇まいの臨済宗のお寺です。
周辺は嵯峨野の住宅街になっており、一見するとそのまま素通りしてしまいそうな感じを受けます。
嵯峨野の入り組んだ路地にある宝筐院は庭園の紅葉が非常に美しく、定評があります。
宝筐院の歴史は古く、平安時代後期に白河天皇の勅願で建立されたお寺です。
もともとは善入寺という名前で呼ばれていました。
それが宝筐院という呼び名に改められたのはずっと後、南北朝時代から後に室町幕府が開かれて後のことです。
北朝方であった足利尊氏の後を受けた室町幕府第二代将軍足利義詮の菩提寺として
菩提を弔うことになるわけですが、その足利義詮の没後の院号が「宝筐院」で、
そこから名前が付けられたのが由来です。
ところが面白いことにここには足利義詮の墓とともに南朝方の武将である楠木正行の墓もあります。
これは足利義詮の遺言によるものだそうで、何と敵であった楠木正行の傍に埋めてくれということだったそうです。
そう、当時の善入寺は楠木正行の菩提も弔っていたわけです。先に四条畷の戦いで北朝方に敗れた楠木正行が
ここ善入寺に先に葬られていたところへ、足利義詮が後から入ったわけです。
もともとは北条氏の鎌倉幕府を倒すために戦った味方同士、そんな感情やまた
不利な状況でもどこまでも忠義を貫き通した楠木正行の人柄が足利第二代将軍をしてそう言わしめたのかも知れません。
歴史を見ると結構面白いいわれがここにもまたあるようです。
隠れた紅葉の名所とも言われている宝筐院ですが、
一見民家に入ってゆくような雰囲気ですが、思いのほか境内は奥行きがあります。
とはいえやはり敷地面積はさほど広くないため、庭園内を回遊しても時間はかかりません。
ただ写真撮影にはかなり気を使わなければなりません。
いくら三脚一脚禁止・写真愛好家に厳しい京都にあっても、
入り口にデカデカと35mm以上の大型・中型カメラ持ち込み禁止と書いてあるお寺は京都中探してもここくらいでしょう。
そんな宝筐院ですが、雰囲気を壊さないよう、静かに楽しむのが良いかと思います。
駐車場は周辺が住宅街になっているためにありませんが、近くの清涼寺あたりに停めて歩いてもすぐです。
また入場料は400円かかります。
紅葉の見頃は11月末〜12月初旬頃ですが、年によって若干異なります。
宝筐院の紅葉
京都嵯峨野にある宝筐院の紅葉の壁紙写真です。